聴覚障がい者が感じる、新たな生活

こんにちは。編集員のSATOです。

新型コロナウィルスの流行で、マスクを着用することや手洗いうがい、消毒の徹底などを始めとした「新しい生活様式」にも、まだ多少の不便は感じるものの少し習慣づいてきた頃ではないかと思います。では健常者以外の方はどうかんじているのか。そんな疑問がふと浮かんできたので、今回は聴覚に障害を持つ穂積さんに、その新しい生活様式で感じたことを伺いました。

穂積さん プロフィール
1992年青森生まれ。1歳の時に3日間原因不明の高熱が続き、突然耳が聞こえなくなる。
現在は株式会社セレスポにて事務などの総務業務を担当。趣味はドライブ、グルメ巡り、野球、筋トレ、国外旅行など多岐に渡る。

―新しい生活様式、もう慣れましたか?
はい。ドライブやグルメ巡りなど外に出ることが好きなので、外出機会が制限されてしまっているのは少し辛いですが、それは僕だけじゃないので収束 するまでは我慢していこうと思っています。そのため、たまの外出を除いて、家にいる機会が増えました。

―その中で不便に感じていることはありますか?
マスクの着用ですね。僕のような聴覚に障害を持つ人は、手話や筆談を中心にコミュニケーションをとることも多いのですが、日常の簡単な会話程度であれば、話をする人の口元の動きを読むことで理解できることも多いです。でも、コロナ禍でコンビニやレストランなどのお店に入った時や会社など、どこへ行ってもマスクの着用が当たり前になったので、口元が隠れてしまい、今までは、なんとなくでも理解できていたことが全くできなくなってしまいました。マスクを外してくれ、とは言えないので、ちょっとコミュニケーションの手間が増えてしまったことは不便に感じます。

―そういう時はどうされるんですか?
白杖を持っていたり、身体的な特徴があったりするわけではないので、パッと見て「聴覚に障害がある」と分かってもらえることはほとんどありません。しいていえば補聴器をつけているくらいだと思います。そのため、レストランのスタッフさんなどに話かけられても応えることが出来ないので、筆談やジェスチャーで耳が聞こえない事を伝えています。時々面倒そうなオーラを出されたり、冷たい対応をされたりすることもありますが、丁寧に対応してくださるかたも多いので助かっています。
手話が主流だと思われがちですが、聴覚に障害を持っている方全員が手話を使えるわけではありません。健常者の方だとその割合は格段に下がる印象があります。手話は、地域や文化でも違いがありますし、世界共通でもありません。そのため覚えることも、本当に大変だと思うからです。

―そうですね。もし自分がちょっとだけ手話が出来ても、それで会話が出来るのかこちらも不安になってしまいます。
手話だけや筆談だけ、と言う風に、コミュニケーションを1種類に揃えてもらう必要はないです。手話と筆談やジェスチャーを混ぜても大丈夫です。もちろん手話が出来なくても筆談だけでも大丈夫です。最初にも言いましたが、今はまだマスクをとっての会話は難しいけど口元を読むことで理解できることも多くあります。でも、早口と長文は難しいので、ゆっくりめで、短い文章だととてもありがたいです。

―そうなんですね。だったら、少しずつでも手話を覚えながらコミュニケーションが取れますね。
昔はイベントに行っても、アナウンスがメインで何も分からないまま終わってしまうことや、大事なことやお知らせが分からない状況だったこともあり、イベントの楽しさが十分に感じられないこともあったのですが、最近は、イベント会場に手話対応のスタッフさんがいてくださることもありますし、放送以外でも楽しめるようなコンテンツも増えてきたので楽しめる機会が増えてきたと感じます。早くコロナが収束して、趣味やイベントを楽しむ時間が返ってくることを心待ちにしています。

 

穂積さん、ありがとうございました。
私もそういう場面に出会った時のために、手話を少しずつ覚えていきたいなと思いました。

 


この記事を書いた人

SATO
1989年奈良県生まれ神奈川育ち。金融、専門商社を経て2017年イベント制作会社の㈱セレスポに入社。好きなのは、写真を撮ること、ビール、牡蠣、えいひれ、そしてわんこ。散歩中のわんことすれ違うたびに「かわいいねぇ…(´◡`)」と呟いてしまうくらいに大好き。

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