コロナ禍における合理的配慮とは

先日、日本ケアフィット共育機構様主催のオンラインセミナーに参加しました!
テーマは「コロナ時代の多様な人への合理的配慮のあり方」。

日本身体障害者団体連合会 阿部一彦会長をゲストに開催頂いた今回のセミナーでは、
障害者差別解消法の改正と合わせ、企業に求められる合理的配慮についてお話しいただきました。

人との接触、直接の会話や空間が制限される状況ですが、どこかで必ず誰かが誰かの助けを必要としている。リモートワークやオンライン化が進みつつありますが、直接のコミュニケーションやサポートは人が人と関わって成り立つ社会、人間活動において必要不可欠なことだと、改めて感じます。

今回は、障害をある方や高齢者にとっての、コロナ禍での今のリアルな困りごとを受けて、合理的配慮とはなにか、多様性・共生社会を目指す現代のこれからの集まり方やイベントを開催する際に、私たちがすべきことを考えていきたいと思います。

2021年5月、「障害者差別解消法」が改正されたことを、皆さんはご存じでしょうか?

▼「障害者差別解消法」とは

国連の「障害者の権利に関する条約」の締結に向けた国内法制度の整備の一環として、全ての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的として、平成25年6月、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(「障害者差別解消法」)が制定され、平成28年4月1日から施行された法律。
令和3年5月、同法は改正され(令和3年法律第56号)、改正法は公布の日(令和3年6月4日)から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日から施行されます。
(内閣府HPより引用)

これまで、義務付けは国や自治体のみ、民間事業者は努力義務となっていましたが
改正によって国や自治体だけでなく、民間事業者に対しても合理的配慮が法的義務化されるようになります。
※民間事業者:個人事業者、NPO等の非営利事業者も含みます。

【合理的配慮とは】
障害のある方から、社会の中にあるバリア(社会的障壁)を取り除くために、何らかの対応を必要としていると意思が伝えられたときに、負担の重すぎない範囲で対応すること。
と定義付けられています。(Wikipedia:合理的配慮とは引用)

必要な配慮は、人それぞれ程度が違い、状況によっても異なることから
コレをしたから良いという答えは無く、コミュニケーションがあり、双方の同意、理解の上で成立するものです。

“合理的配慮=思いやりのある行動”
と捉えられやすいですが、逆に一方にとって負担になってしまう場合には合理的配慮とは言えません。

|コロナ禍での困りごと

車椅子利用者にとって新型コロナウイルスの影響は大きく、感染対策が優先されて
サポートや配慮が受けにくくなったと言います。

例えば・・・

●アルコール消毒液が高いところにあること
車椅子では届かない高さに置かれていることが多く、手指消毒が出来ない。

●足ふみ式は使えない
車椅子では足ふみ式アルコール消毒液は踏めないので手指消毒出来ない。

●プッシュ式アルコールスプレーは使えない
欠損や麻痺など、上肢障害の方はプッシュが出来ないため、手指消毒が出来ない。

●車椅子利用者は目線が低いため、立ったままの対応では飛沫感染が不安。

●事前手配を依頼していても、感染症対策で無人化や人員削減で待ち時間が長くなるなど
ソフト面の不安がある。

●介助での密着は濃厚接触となり、不安が大きい。

《基本対策・対応》
・アルコール消毒は多様な方々が利用できるよう、高さを変えて複数設置する
・人を配置出来ない場合は、センサー式自動アルコールにする
・一概に対面の案内や人員を撤廃するのではなく、必ずサポートが必要な場所と機器や
システムで代用できるところを整理する。
・電動車椅子用の充電スポットを設ける
・車椅子使用者に対して、飛沫感染を予防するため対面ではなく、斜めから距離をとって
声掛けや挨拶を行う。
(引用:コロナ時代の多様な人への合理的配慮とは?セミナー)
(引用:サービス介助士における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン)

感染対策が最優先になるがゆえに、疎かになっていることや余計に見えなくなってしまっていることが沢山起きているのだと感じました。

基本的な考え方が“健常者が利用しやすい環境の中で、障害者の方でも利用しやすく改善する”が前提ではなく、企画段階からすべての方を快適にすることを前提として、そこに差のないものにすることがイベントにおいても大切ではないかと思います。

|感想
昨今は人手不足や感染対策を理由に、無人化や人員を減らす動きになってきていますが、障害者の方々が感じている問題を知り、どのような配慮が必要なのかを考えること、
ひとりひとりの意識改革が大切だと感じました。

コロナ禍を経験し、それぞれが模索しながら懸命に生きている世の中ですが、
必要な配慮やサポートが当たり前に行われる社会に近づいていけるように、また改めて「集まる」ことの意味を問われている今、少しでも考えるきっかけになれば幸いです。

↓セミナー主催者、公益財団法人日本ケアフィット共育機構様では、“誰もが誰かのために、共に生きる社会”の実現を目指し、様々な取り組みの支援やセミナーを開催されています。
ユニバーサルデザイン、ダイバーシティ、SDGsに関する情報なども掲載されていますので、是非ご覧ください。

◆公益財団法人日本ケアフィット共育機構
https://www.carefit.org/

◆感染しないさせないガイドライン
https://www.carefit.org/carefit/news/news20201104.php

◆国土交通省 新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた
「公共交通事業者に向けた接遇ガイドライン」
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/sosei_barrierfree_tk_000267.html

この記事を書いた人

Mizu
東京都出身の感覚型人間。趣味は映画観賞とエレクトーン、スポーツ全般すきです。
今年4月から新部署で奮闘中。

同じカテゴリーの記事を読む

カテゴリーごとに記事を見つける